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観光と生活

少数民族の村へのトレッキング・ツアーに参加しようか、迷っている。人間を見せ物にすることにも、見せ物になることにも、やはり抵抗があるからだ。
民族衣装を着て被写体となり、現金収入を得ている人々を哀れんだり、蔑むつもりは毛頭ない。観光"産業"は、すでにどの国でもどの地域でも重要な収入源であり、それに従事する人間もまた、地域の重要な構成員だからだ。なにより、一つの命がそれを維持するための手段の貴賤の判別を私は知らない。
すでに衰退の一途をたどっているとは言え、観光地に生まれた人間として、どこへ行っても、旅行者としての視点と同様に、迎える側の視点で、その土地を見てしまう。
旅行者にとってはその土地土地の生活感を肌で感じることは、旅の醍醐味であるといえる。町を行けば、人々で賑わう市場や、寺院へ参拝する敬虔な信徒、また斜陽に染まる建物すべてが新鮮で物珍しく写る。ツアーに参加すれば、村の素朴な暮らしは、郷愁と深い感銘を与えてくれるだろう。そしてそこに暮らす人々との、何気ないやりとりやコミュニケーションが、一番の思い出として旅行者の記憶に刻まれるはずだ。私もその土地の暮らしを体感することや、地元の人との交流がこれからの観光地のキーポイントであると考えている。
しかし一方で旅行者にとっての非日常は、そこに暮らす人々の日常でもあるのだ。私のような何も知らない外国人が、土足で入り込んで良いものなのだろうか?私がカメラを向けることで、彼らを傷つけやしないか。すでに見聞きしているだろう我々の暮らしぶりと自分たちのを比べて、恥じてしまったりはしないだろうか。
ある程度、年齢を重ねていれば、民族としての誇りや、観光資源としての価値を見いだせるかもしれない。しかし誰にとっても都会の豊かで、贅沢な暮らしは魅惑的に見える。もし労働力が流出し、過疎化に伴って地域の産業は廃れ、観光にのみ頼らざるを得ない状況に陥れば、その地域の経済はいずれ、行き詰まることになるだろう。私の故郷や、日本の崩壊しつつある地域社会のように。
もっとも日本の場合が必ずしも当てはまる訳じゃないし、日本の地域社会の経済の悪化が、過疎化だけに因るものではないのだが、似たような事態がアジアの地方で起こりうる可能性は容易に想像できる。
変化を拒否するのではない。過ぎ去りし封建社会を美化し、昔は良かったなどと言うつもりもない。諸行無常。この世に不変たるものなどないのだ。問題なのは、グローバル化が一方でもたらした画一化である。電線が通り、道路が整備され、生活は改善された。しかしいきすぎた開発が、その地域の自然を破壊し、独特の産業を荒廃させ、その地域固有の暮らしが我々となんら変わらなくなってしまえば、多くの旅行者にとって、観光地としての魅力を失ってしまうだろう。
地域、ないしはもう少し広範囲の地域エリアで循環するビジネス・モデルが必要であると、私は考える。グローバル化に揺さぶられない地域経済の確立が急務だ。願わくばそれが、地域の特色に根付いたものであれば、観光地としての魅力に花を添えるはずだ。
そして私自身がそれに関わっていければ、っと思う。
さてトレッキングはどうしようかぁ。象には乗ってみたいんだけど。とりあえずチェンマイに戻ってきた。申請中のビザを受け取るのだ。
写真はチェンライのメーコックヴィラ・ゲストハウス。ワンちゃん達が歓迎してくれた。のんびり出来るいいところだったなぁ。虫は多かったが…。
チェンマイの居所は、またバナナです。

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