そんなこんなでバラナシ10日目。例によって何もしてない。日食は無事見れたものの、他の日はだいたい本を読んだり、ガンガー(ガンジス川)沿いを散歩をしたりして過ごしている。
結構、みんなバラナシを気に入ってるみたいだけど、なんでかなぁ?臭いし汚いし停電多いし、決して良いところじゃないと思うのだが???まぁ文句を言いつつ、10日もいてなんだが。
先日は、火葬場を訪れた。ガンガーに面してある火葬場は、日本のそれとは趣が異なり、ただ薪を重ねてその上に死体をおき、外で行われ、遺灰はガンガーに流される。燃えさかる薪からひょっこりのぞいた遺体の足や、火葬開始直後の未だ人の形をなした肉塊は、死の、人間の最後の瞬間をまざまざと見せつけ、生と死の有り様を直感させる。
ちなみに火葬場は撮影厳禁なので、写真はありません。雑な火葬だけど、木箱に詰め込まれて、コンクリートの釜で焼かれるのも、人間味が無いっちゃ、無いかなぁ。
きっと誰もが感じることだろうけど、死を意識しない生は空虚だ。それは愚鈍で、生命への冒涜に他なら無い。でもきっとまた日本に帰って、日々の暮らしに追われると、忘れてしまうのだろう。
昔私は、人間はいつか死ぬのだから、死ぬために生きている人間は空しい、だから人は死ぬために生きるのではなく、目的を持って生き、結果として死ぬのだと考えた。
今はまた、やっぱり人は死ぬために生きていると思っている。でも空しいとは思わない。せえいっぱい生きて、安らかに死ねたら、まぁいいかな。そう思う。
ガンガーの流れは、静かに弛みなく続いている。雨季だというのに、水量は少なく、ボートで中州へわたることもできる。今日も多くの巡礼者がこの川で身を清め、祈りをささげていた。