先日は、福島市方木田の「ふらっーっと茶の間」を訪問した。
「ふらーっと茶の間」は、「方木田助けあいの会」が運営する、高齢者や障害者が安心してくつろげる地域の“お茶の間”だ。
“寺子屋”とか“コミュニティ・カフェ”とか、webで検索すると、いろいろな紹介をされているけど、お茶の間と言う言葉が、なによりぴったりのそんな場所だった。
訪問のきっかけとなったのは、先日、「まごころサービス福島センター」で開催された居場所づくりに関するシンポジウムだ。
パネリストとして参加していた方木田助けあいの会の代表・武田美恵子さんと加藤登紀子さんが、居場所づくりとして、自由な雰囲気が利用者の心の負担を軽減し、また来たくなる場所となる、と言うようなことを言われていて、私自身コミュニティ・カフェの運営に携わる者として、非常に興味がわいたからだ。
もちろん、仕事も兼ねて(って逆か・・・)。
ふらーっと茶の間の原点は、武田さんが13年間の民生員としての活動のなかで、高齢者や障害者が、なによりも「話し相手」を必要としていることを感じ、誰もが気兼ねすることなく訪れることができ、日常の延長(これを武田さんは何度もおっしゃいました)のように過ごす事のできる場所を作りたいと思ったことだそうだ。
7年前から活動を続け、2年前には、会員さんから持ち家をお借りすることができ、より広いスペースで約110名の登録会員さんが利用している。
訪問した日も、30名以上の方が思い思いに過ごされていた。
ある人は、お茶とお菓子を囲んで世間話をしていたり、ある人は別のテーブルで、折り紙の工作をしていたり、またある人は、別室でステンレスの板とビー玉で万華鏡を作っていたり・・・。
まさに大所帯のお茶の間そのものの雰囲気で、私も気がつけば玄関先から、皆さんのお声に誘われるように自然に靴を脱いで上がってしまっていた。
もちろん、自由であるがゆえに、大切なルールもそこにはある。
それらの決まり事は、「誰もが気兼ねなく、安心して居られる」場所づくりにとって、とても大切なことだ。明文化はしていないが、「差し入れをした人を尋ねない・言わない」なんてのもある。差し入れできない人が、出来ないことを負担に感じてしまうことを避ける為だ。利用者は単なるお客様としてではなく、互いに支え合うコミュニティの一部を担うことが求められ、そしてそれが利用者にとっての生き甲斐に繋がっている。誰に言われることも無く、時間になれば、後片付けや掃除を皆が率先して「出来ることを」する。
あくまで最低限のところをルールとして、細やかな調整を武田さんがしている。実際、私が利用者の方と話している間も、武田さんは、なんとなく話題によってできた小グループの間を、ちょこまかと行ったり来たりしていた。雑然としているように見えて、利用者が心地よい雰囲気は、武田さんの経験に基づいた計算と配慮によって築かれているように感じた。実際、武田さんの動きは気にするようにするまで、全く気にならなかったのだ。
コミュニティ・スペースを名乗る所はたくさんあるけれど、現実、地域にとって不可欠の居場所となっているところは、どれだけあるだろう?少なくとも「ふらーっと茶の間」の利用者にとって、そこは自らが支える必要のある大切な居場所なのだと思う。