スキップしてメイン コンテンツに移動

南京大虐殺記念館

蘇州から南京までの列車が7:47発しかとれなかったため、南京には9:30に着いてしまった。
車内はまぁまぁ混んでいたが、南京駅は閑散としていて、寂しい。中心部は南京駅から離れているのだ。駅前すぐに玄武湖という湖が広がっていて、湖越しの高層ビルが美しく見えた。

チェックインまで時間があるので、南京大虐殺記念館へ向かった。中国へ行こうと思ったときから、ここへ行くことは決めていた。たいした深い意味合いはない。平和を尊び、反戦を主張するのに、他国の、しかも自分が生まれた国によって犠牲になった人々の追悼碑を見ずにいるのは、何となくおかしいと思ったからだ。
施設の規模はとても大きいのだが、見るところは意外と少なかった。メインは発掘跡ぐらいで、正味20分もあれば見終えてしまうほどだ。旧正月真っ直中と言うこともあってか、私以外の客は数名であった。
沖縄や広島の記念館が展示物の質でも量でも、勝っているように思える。犠牲になった人々への悲哀を伝える演出も、コチラに比べると過剰とすら思えるほど、涙ぐましい努力を感じた。それほど南京のこの施設は簡素で、拍子抜けな思いを抱いた。
それでも発掘跡の人骨や、犠牲になった人々の名を刻んだ慰霊碑には、胃が縮むような思いを受け、各所の注釈に中国語と共に記された日本語は、私の無様なナショナリズムを刺激するのに十分でもあった。
嗚呼、私は日本人なのだ。しかし願わくば、日本人である以前に一人の人間として、犠牲者を弔いたい。そうして一度は素通りした慰霊碑に戻り、一番安い線香を買ったものの、火がうまくつけられずに、まごまごしていると、お店のおばさんがつけてくれた。
私のような不徳な人間に手を合わされても浮かばれやしないだろうけど、どうかこの矮小な旅人の自己満足に少しばかりお付き合いください。

帰りはボンヤリと、戦争と平和について思いをめぐらせながら、途中、路地裏の薄暗い食堂で、一皿5元の高菜飯をかき込み、寒空を凍えながら歩いた。

南京の今日は、寒い寒いと思ったら、最高気温が−1℃だって。最低は−13℃。もぉいい。暖かいところを目指そう。

このブログの人気の投稿

Insta360 ONE Rが故障しました

 2020年6月に購入したアクションカメラ「Insta360 ONE R」が故障しました。 アウトドア、特に水辺での活動中における動画撮影や、Googleマップのストリートビュー投稿に便利に活用していました。   ところが、今年に入ってスノートレッキング中に撮影をしようとしたところ、急に電源が落ちたと思ったら液晶をタップしてもボタンを押しても反応がありません。   このカメラの特徴は、コアと呼ばれる本体とレンズ・バッテリーを分離することが出来て、レンズは4K撮影ができる物と、360°撮影ができるレンズの2つが付いており、付け替えて撮影することが出来る点にあります。 頻繁に本体とカメラを外したり付けたりするコネクタ部分に若干の不安は感じていたので、接触不良を疑い、清掃してみましたが、改善しませんでした。 メーカーのホームページから修理に関する問い合わせをチャットで送ったところ、大変親切に対応してくださり、色々と試しましたが、結局本体とレンズを送って確認してもらうことになりました。 なお、中国の会社ですが、日本語対応可能な方もおり、応対になんの不安もありませんでした。 メーカーで故障状況を確認してもらったところ、残念ながら修理は不能で、コア(本体)部分のみ交換となりました。 保証期間は過ぎているので料金が発生します。 本体110ドル+輸送料11ドルで、PAYPALでの支払いにより、日本円にすると約19,000円でした。 ちなみにコアはリニューアル後の「ONR RS」というバージョンへの交換です。 レンズはこれまで使っていた旧機種のものを、そのまま使えます。 (レンズはR→RSへのバージョンアップ時に、何も変更がなかったのかしら?) メーカー公式ホームページで販売されているコアのみの価格が約30,000円なので良心的だと思いました。 無事に交換後の商品も届いて、早速試しましたが、問題なく使用できました。 最初に問い合わせをしてから、交換部品の到着まで約15日間。 私自身がのんびり対応していた事もあるので、日数はかかりましたが、非常にスムースに事が運んだように思います。 とても良いメーカーだと思いました。

旅の道具2

 旅の記録をつけたり、ブログを更新したり、暇をつぶしたり(笑)といろいろな用途で活躍するデジタルグッズ。 デジカメは他に防水の OPTIO WP をもっている。OPTIO WPは結構他の野宿旅の方やバックパッカーも使っている。当時このサイズで水中撮影すら可能な防水機能を持ったデジカメは他になかったので、発売後にすぐ定価で買った。今は動画をきれいに撮りたいと思い、サンヨーのザクティを購入した。旧型だが自分のパソコンも型が古い為、それほど高画質のムービーは扱えないだろうし、必要充分だと思う。ちなみにザクティは防水ではない。  出かけるたびに、どちらをもっていくか、はたまたどちらも持っていくか悩むが、長期の場合、やっぱり防水の安心感がまさって、OPTIOを持っていってしまう。結局、防水でよかったと思うシーンはそうはないのだが、雨が降った時に、慌ててカメラを処置しなくても良いというのは、なかなか心強い。  携帯は最近、ウィルコムのスマートフォン「Advanced W-zero3【es】(略してアドエス)」に機種変更した。 かれこれウィルコムの前身であるDDIポケット時代から10年以上契約しているが、スマートフォンは初めて使うこととなった。  旅先でもネットを利用した情報収集や、ブログの更新、メモなどの作業を手軽にできる機器が欲しかったのだが、なかなか決め手を欠いており、また特に必要には差し迫っていなかったので、実際に旅をしながら自分のスタイルにあった機材を導入しようと考えていたのだ。  候補はアドエス以外に、7月に発売を開始したiPhone、同じくアップル社のiPod touch、アドエスの後継機であるWILLCOM 3やEeePcなどのUMPC等もあげていた。  iPhoneやiPod touchは、わかりやすいインターフェイスや自宅のMacとの同期がしやすいなどの利点があったが、いかんせんiPhoneもiPod touchもデータを出力するだけの機材なのだ。基本的には入力はあくまでパソコンですることを前程に作られているように思える。その点、UMPCを利用すれば、当然キーボードを使った入力や、デジカメからデータを吸い上げてブログにのせる等、普通のパソコンと同様のことができる。  アドエスにも小さなキーボードは付いているが、一番のポイントはUMPCのようにデジカメ等、他の機...

ふらーっと茶の間へいく

先日は、福島市方木田の「ふらっーっと茶の間」を訪問した。  「ふらーっと茶の間」は、「方木田助けあいの会」が運営する、高齢者や障害者が安心してくつろげる地域の“お茶の間”だ。  “寺子屋”とか“コミュニティ・カフェ”とか、webで検索すると、いろいろな紹介をされているけど、お茶の間と言う言葉が、なによりぴったりのそんな場所だった。  訪問のきっかけとなったのは、先日、「まごころサービス福島センター」で開催された居場所づくりに関するシンポジウムだ。  パネリストとして参加していた方木田助けあいの会の代表・武田美恵子さんと加藤登紀子さんが、居場所づくりとして、自由な雰囲気が利用者の心の負担を軽減し、また来たくなる場所となる、と言うようなことを言われていて、私自身コミュニティ・カフェの運営に携わる者として、非常に興味がわいたからだ。  もちろん、仕事も兼ねて(って逆か・・・)。  ふらーっと茶の間の原点は、武田さんが13年間の民生員としての活動のなかで、高齢者や障害者が、なによりも「話し相手」を必要としていることを感じ、誰もが気兼ねすることなく訪れることができ、日常の延長(これを武田さんは何度もおっしゃいました)のように過ごす事のできる場所を作りたいと思ったことだそうだ。  7年前から活動を続け、2年前には、会員さんから持ち家をお借りすることができ、より広いスペースで約110名の登録会員さんが利用している。  訪問した日も、30名以上の方が思い思いに過ごされていた。  ある人は、お茶とお菓子を囲んで世間話をしていたり、ある人は別のテーブルで、折り紙の工作をしていたり、またある人は、別室でステンレスの板とビー玉で万華鏡を作っていたり・・・。  まさに大所帯のお茶の間そのものの雰囲気で、私も気がつけば玄関先から、皆さんのお声に誘われるように自然に靴を脱いで上がってしまっていた。  もちろん、自由であるがゆえに、大切なルールもそこにはある。  それらの決まり事は、「誰もが気兼ねなく、安心して居られる」場所づくりにとって、とても大切なことだ。明文化はしていないが、「差し入れをした人を尋ねない・言わない」なんてのもある。差し入れできない人が、出来ないことを負担に感じてしまうことを避ける為だ。利用者は単なるお客様としてではなく...